願望成就刑

ここは城下町リンカー。
俺は今、冒険者パーティの仲間による冤罪を受けて死刑とされようとしていた。
この国の死刑は一風変わっている。
それは「願望成就刑」と呼ばれる刑罰で、命を以て住人の願望を叶えるというものである。

「俺はやってない! 無実なんだ!!」

言うだけ言ってみるが、効果などない。
この国の警吏は他の国と比べても能力がなく、冤罪であっても一応の罪人を見繕うことができればそれでいいのであった。

「うるさいぞ、犯人は全員同じことを言うだろう!」

バシィ
と俺は鞭を打たれ、呻く。
顔を前に向けると死刑を見に来た住人たちに混ざって、かつての仲間たちが姿を見せる。
哀れな感情を向ける僧侶に、歪んだ笑顔を見せる盗賊……彼が犯人だった。

「この者の命運を決める者は……そうだな、そこの少女よ、願いを言ってみるがいい」

「は、はいぃ!?」

突然指名された町娘の少女は裏返った声を上げる。
そういえばこの少女は先程から妙に腰をもじもじさせていて、挙動不審であった。
それで警吏に目をつけられたのだろうか。

「何でも言ってみるがいい。こいつが命をかけてその願いを叶えてくれるだろう」

「あの……その……」

「どうした」

「……がしたいです」

少女が顔を赤らめて、小さな声で何かを呟いた。

「もっとはっきり言わないと聞こえないぞ」

「おしっこがしたいです!」

開き直ったように叫び、彼女は願いを口にする。
はて、彼女は何を言ったのだろうか。耳には入っているが、その言葉の意味を俺は理解することができなかった。

「ふむ……なるほど」

俺には理解できなかったが、警吏にはどのような処遇を俺に与えるか決まったようだ。
つまり、なんだ。俺は彼女の尿を飲めばそれで刑が終わるというのだろうか。
……まさか、そんな甘いはずがない。

「ならば、こいつを君の尿道に挿入してみればいい。そうすればトイレまでの間我慢できるであろう」

「はい!?」

思わず、俺と少女は同時に疑問の声を上げた。
……こいつは何を言っているんだ。

「偶然だが、我が国の魔法研究では縮小魔法が研究されている。それを彼に使えって君の尿道に挿入するのだ」

「この非常に小さな棒の先端にこの死刑囚をくくりつけ、障壁魔法の触媒とするのだ。それで君の排尿を食い止めてもらう」

「…………」

理解が追いつかない。だが、現実は容赦なく襲いかかってくる。

「さあ、覚悟が決まっていようがいなかろうが知ったことではないが、最後になにか言いたいことはあるか」

「……君は、これでいいのかい?」

俺は目の前の少女に問いかけた。もしかしたら恥ずかしくてなにかが変わるかもしれない

「ご、ごめんなさい! お願いします!!」

だが、現実は変わらず。少女にとっては羞恥心よりも早くこの場を切り上げてトイレに行くことのほうが優先されてしまったようだ。
「さあ、現実を受け止めて彼女の尿を止めてみせるのだ、死刑囚よ!」

警吏の手が光り、俺に魔法をかける。
瞬く間に周囲の人間、建物などは大きくなり、俺は巨大な手のひらに乗せられる。
その後は何も口にできることなく、体を巨大な棒……もともとは小さな棒だったのだろう。それにくくりつけられる。
最後に、特別な施術……俺を障壁魔法を起動するための触媒にする準備である。それが施されると、俺は少女に手渡される。

眼の前には少女の巨大な顔が映る。
垢抜けない様子ではあるが愛らしい顔立ちで、巨大な目で俺を見ていた。
年の頃は14ほどだろうか、そんな彼女が今から公然の前で俺を尿道に挿入するのは……

「その、恥ずかしくないのか?」

思わず、問いかけた。

「もちろん恥ずかしいです! でも、そうしないと終わらないでしょう!?」

そう言い切り、彼女はスカートをパサリと脱ぎ落とし、しゃがんで俺を彼女の性器の前まで持ってきた。
そこはまだ薄っすらとしか陰毛が生えてきていない、誰もが未だに足を踏み入れていない秘境の入り口だ。
巨大なクレバスに挿れられるのは俺ではない、将来の誰かの陰茎であるがその膣は誰をも受け入れるであろう母性のフェロモンを発していた。
俺の体は僅かに持ち上げられ、彼女の尿道口へと添えられる。女性の陰部特有のフェロモンを伴った匂いを含めながら、尿のアンモニア臭が襲いかかる。
臭い。だが俺はこれからそれを更に凝縮されたところへと幽閉されるのだ。もはや誤差だろう。

そして、俺は少女の尿道へと挿れられる。
視界は暗黒に包まれ、辺りの様子は伺うことができない。しかし、それでも先程までとは比べ物にならないほどの悪臭が俺の嗅覚を襲う。
ここは少女の尿を膀胱から外界へと排泄するための通り道なのだ。当然、この経路では尿の放つアンモニア臭が凝縮される。
その凝縮されたアンモニア臭を俺はどうしても嗅がざるをえないのだった。

アンモニア臭が詰まった空間を進んでいくと、俺の体はなにかに押し当てられる。

「ひっ」

外からこの体の主である少女の小さな悲鳴が聞こえる。
尿道の奥にある壁、すなわち俺は膀胱頸部にぶつかったのだ。
つまり、これから起こりうることは……

と、思案していると俺の体を中心に薄桃色の光が放たれる。
これは障壁魔法の輝き。これによって少女の排泄しようとする尿は外界へと漏れ出ないようにするつもりなのだろう。
障壁魔法の発動に伴い、暗黒だった視界は開けてくる。
周囲は赤い肉壁であるが、どこか幻想的な洞窟でこんな状況でなければ冒険者としてなにかに期待さえすることができただろう。
だが、感動する時間は僅かしかなかった。
眼の前の膀胱頸部は徐々に開かれ、黄金の液体が漏れ出てくる。
膀胱に詰まっていた黄金水はやがて鉄砲水となり、俺を襲う。

「ごばばばば!」

問答無用で俺を穴という穴から蹂躙し尽くした尿は、しかし障壁魔法の後ろには漏れ出ない。
少女の尿はどうとも表現することができない味で、ただ彼女の膀胱内で人肌まで暖められた液体を飲むというのはやはり不快感が隠せない。
俺が意識を持ったまま認識できたのはここまでで、少女のおしっこで溺れた俺はこれから先起こることを何も知らない。

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