ドライアド式アロマセラピー(サンプル)

fantiaの500円プラン作品2022年7月号のサンプルとなります。
本投稿では作品内から一部分を抜粋しています。

https://fantia.jp/posts/1371060

「こんにちは、アロマセラピーをやってるって聞いたけど、おすすめはあるかな?」

「アロマセラピーですね! おすすめは……色々あるんですけれど、当店オリジナルのサービスはいかがでしょうか?」

「オリジナル? 気になるな……」

「じゃあ、ご説明しますね!!」

 オリジナルのアロマセラピー。若干怪しい気配はするが、冒険者たるもの挑戦の心を失ってはいけない。詳細を聞こうとすると、少女ドライアドは表情を明るくして話し始める。
 よほど自身のあるものなのだろう。
 しかし、その内容は俺の想像を絶していた。

「まず、お客様には縮小薬を飲んでもらうんですけれど」

「縮小薬!?」

 縮小薬。最近、とある錬金術師によって開発された魔法薬の一種だが、アロマセラピーで使うものなのだろうか?
 あるいは、小さくなった身体全身に油を浴びせるというものなのか?

「その後、お客様には私の尿道を通っていただき、そのまま膀胱にしばらく滞在してもらいます」

「膀胱!? アロマセラピーじゃないのか!?」

「アロマセラピーですよ。私達ドライアドは、自分では使わない油を膀胱に溜め込むんです」

「つまり、おしっこじゃないのか?」

「そんな! おしっこじゃありませんよ!! 私達の膀胱に溜め込まれた油は、他の種族には栄養たっぷりの蜜なんですよ」

 いわゆる、花の蜜に相当するものなのだろうか? しかし、俺はそれを溜め込む場所について聞き逃していない。

「でも、さっき尿道って……」

「それは言葉の綾です! 人族の女性がおしっこするのに使う尿道と同じ構造をしているから、わかりやすく例えただけですよ」

「そ、そうなのか……?」

 いささか納得はできかねるが……しかし、ドライアドの油が栄養満点というのはよく聞く話だ。
 それを全身で浸かることができるなら、たしかにアロマセラピーとしては抜群だろう。

「よし、なにごとも挑戦だ。そのサービスを受けてみるよ!」

「ありがとうございます!」

 取引が成立したときの表情は、とても明るいものだった。

 水を手渡され、縮小薬を飲んでからの世界はまるで別世界だった。
 視界はみるみるうちに拡大され、今まで着ていた服は完全に脱げてしまう。俺自身も、脱げた服の中に生き埋めだ。

「おーい、助けてくれー!!」

「今出してあげますねー」

 ドライアド少女の若干気の抜けた声が、衣服の外から聞こえてくる。
 それから少しすると、俺を覆っていた服は取り除かれ、再び外の世界へと帰還する。
 見上げた先、そこで目が合ったのは店主のドライアド少女。しかし、スケールは先程までとは大違い。
 天上を埋め尽くすかのように巨大な顔は、片目だけで俺を飲み込んでしまうかのような瞳で見つめてくる。

「…………」

 壮大なスケール。魔物であるはずなのに、むしろ女神を連想させてしまう畏怖。

「あのー、大丈夫でしょうか?」

 思わず呆然としてしまう俺に対し、ドライアド少女は確認を取る。

「あ、ああ。大丈夫だ」

「良かったです。それじゃあ、早速ですが私の尿道にお入れしますね」

 そう言って、少女は衣服を脱ぎ始める。
 元々着ていたのがワンピースだったため、下半身はおろか上半身も下着姿になってしまい目のやり場に困ってしまう……お互い裸になる時点で、大差ないのだが。
 ワンピース越しでも控えめだったその胸は、服を脱いでも平らであることが証明されてしまった。
 ここは“そういう店”ではないため気にするだけ無駄だが、彼女ではいくら人を縮めたところで、胸による挟み込みは不可能だろう。
 一方で、パンツすらも脱ぎ捨てられた股間は真珠のように艷やかな肌を見せている。
 サービスの目的地へとつながる“洞窟”は、大きく縦に割れた裂け目の中。その中の大きな割れ目に乗っかる形で、円形状に空いていた。
 スケールこそ巨大だが、ドライアドの人体構造も外見上は人間と大差ないらしい。

「それじゃあ、尿道口まで運びますので、後は奥まで進んでくださいね」

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