【FGO二次創作】皇女のかき氷

Fate/Grand Orderの二次創作小説です。
舞台はアメリカ特異点のシャーロット(1部5章フリークエスト)。
そこのwave2に登場する槍ケルト兵が水着アナスタシアの宝具によってかき氷として食べられる話です。
スカトロ注意、フルツアーです。

 アメリカ大陸、シャーロット。ここはそう呼ばれる土地らしい。
 らしいというのは、俺はアイルランドの土地からいつの間にかこのアメリカ……それも遥か未来の世界とやらに召喚されたため、女王様からの伝聞でしか事態を把握できていないのだ。
 とはいえ、俺は誇り高きケルト兵。見ず知らずの土地であろうと、防衛を任されたからには放棄するわけにはいくまい。
 そう、心に誓っていると早くも侵入者の影を発見。俺は仲間とともに駆けつける……が。
「ヴィイ!」
 その掛け声が聞こえると、隣りにいた共闘者……狂戦士のシャドウサーヴァントたちは突然上空に現れたバケツの氷水で凍死。
 ……ふざけた攻撃だが、どうやら敵は相当の実力者らしい。
「あとは……貴方だけね。魔力を回しなさい、マスター!」
 どうやら、先ほど精霊を仕掛けてきた白髪の少女。その背後には更に別の指揮官がいるらしい。ならば、そちらを狙うまで!
「死ねよやー!!」
 ケルトの秘技、鮭飛びの術。鮭の如き跳躍力で飛び跳ね、空中から奇襲を仕掛ける技で一気に距離を詰めマスターと呼ばれた少年の上空に迫る。
 次の瞬間には、彼の胸は我が槍で貫かれている……はずだった。
 だが、目の前を覆うのは一面の氷。否、目の前のみにあらず。
 いつの間にか俺は、極寒の監獄へと閉じ込められていた。
「『雪夏、麗しきは霧氷の滴(スニエクレータ・スネグーラチカ)』……間に合ったようね」
 間に合った、というのはこの監獄を作り出したのはあの少女の仕業ということなのだろう。
 閉じ込めただけではなく、もっと別の……恐ろしいことを企てている。そう悪寒が走り、急いで壁を砕こうとするも成果は出ず。
 逆に、あまりの寒さに俺は体力を奪われ続けていた。
「氷の中、寒いわよね。今、楽にしてあげるわ」
 その声は耳元で語りかけられるほどに近く、大きい。だが、俺を驚愕させたのはそれだけではなかった。
 ガキンッ、という音とともに、氷の壁は砕かれる。だが、その向こうで待っていたのは当然救援なのではない。さらなる悪夢への、橋渡しだった。
「それじゃ、いただきます。あーんっ」
 極寒で体力を奪われた俺はなすすべなく、その橋……食事に使われるスプーン。それに乗せられ、あまりにも巨大な少女の口内へと運ばれる。
「や、やめろっ! 殺すなら普通に殺してくれ!!」
「うーん、美味しいわね」
 だが、彼女はこちらの要求は聞き入れず……当然といえば当然だが、俺は少女の口の中で、巨大な桃色の大蛇の如き舌で弄ばれるのみだった。
 あるときは口蓋へ押し付けられ、あるときは全身を巻きつけて苦しめる。そのような責め苦は彼女が飽きるまで続いたのである。
 彼女が飽きれば、それは収まったのだが……当然、それは単に新たな地獄への招待状を送られるという意味に過ぎない。
 ゴクリ、と喉を鳴らす音とともに、俺の肉体は少女の胃袋へと送られる。

 アイルランドからアメリカへと召喚された俺の肉体は、正しくは肉ではなくエーテルでできたものだ。それ故か、光の差し込まない暗闇でも魔力の視界で周囲は見える。見えてしまう。
 その視界に映ったものはまさに地獄。
 ここに来るまでに食べたであろう食物は、彼女の胃液によっておどろおどろしい姿へと変貌していた。
 それを包み込む胃壁は健康体の、濁りのない真紅に染まっていたが、肉の壁から溢れ出す胃液はエーテル体であるはずの俺すらも消化する。
「やめろ、やめてくれ!」
 それは一度に殺すのではなく、徐々に苦しめて殺す拷問。人間のみならず、ほとんどの生物ならば自然に行う生理現象と言う名の地獄がここに顕現していた。
「く、くそっ! ひと思いに殺せ!」
 せめて誇りを傷つけられる前に、そう懇願するも、俺を苦しめるのはあくまで生理現象。それをコントロールすることなど肉の主である少女にもできまい。
 俺は胃壁から染み出す胃液と、胃袋の蠕動運動によって体中の骨が折られていた。
 だが、それでも生きているのはエーテルという神秘によって強化された肉体。そしてケルト兵の強靭さが原因だったのだろう。
 俺は、さらなる辱めを受けるべく胃袋から先のトンネルへと運び込まれた。
 十二指腸という場所だっただろうか。召喚時の知識には、なぜかそのようなものが刻み込まれていた。
 エーテルの肉が、削ぎ落とされる感覚を覚える。胃袋によって溶かされ、砕かれた身体が小腸に吸収されているのだ。
 一方、俺の身体は何者かに染められていく。
 それは腸壁から染み出す、黄色い液体。俺は、それによって染められていたのだ。
 はて、これはなんの色だっただろうか……日常的に見ているもの。それに近い気がするが……。
 長い、長い小腸。もはや抵抗する気力もないためただ蠕動運動によって運ばれるのみだったが、ここを抜ける頃には俺の意識はもはや僅かな残骸に残るのみだ。
 大腸。狭いトンネルから一転、幅が広くなったこのトンネルは異臭に包まれている。
 スカトール。ある日女王から聞かされた、香水にも使われるというそれ。
 その物質の源の臭いだ。ひどく、臭い。
 外で戦っていたときは、敵対者ながら美しい少女だと思っていたのだが、体内はこうも醜いものであったのか。
 この空間を運ばれるうちに、俺は、水分を、絞り尽くされていき、その果てはもはや、栄養も残らぬただの……。
「(そうか、俺は……なってしまったのだな)」
 大便でしかない。見た目麗しい少女が体内に秘める排泄物。そのようなものに、俺は変貌していた。
 誇り高きケルトの戦士。その末路としてはあまりにも侮辱的で、精神を陵辱する結末。
 この辱めを持って、俺は完全にこの特異点から消滅するのだった。

 翌朝。カルデア。
「ううん、いい朝ね」
 夏の衣を身にまとった少女サーヴァント、アナスタシア・ニコラエヴナ・ロマノヴァ。
 彼女は先日の食事を“出す”ために、トイレへと入る。
 サーヴァントである彼女は本来食事などいらず、ならば排泄行為もいらないのだが、つい習慣として食事をしてしまう。
 食事をするならば、吸収できなかった残り物は当然“出す”しかなく……。
「サーヴァントになっても、こんなところは変わらないのね」
 白い陶器に腰を掛け、下腹部に力を入れると不浄の穴からひねり出される茶色の蛇。
「そういえば……昨日のケルト兵はどうなったのかしら」
 と、思うも“出した”ものには一瞥することなくコックをひねり、ソレを水に流す。
 アメリカの地に召喚されたケルト兵。こうして彼は、誰の記憶に残ることもなく、この世から消え失せた。

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