成人祝(サンプル)

fantiaの500円プラン作品のサンプルとなります。
本投稿では作品内から一部分を抜粋しています。
https://fantia.jp/posts/721882

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「お、おーい。君、この神社の子かい?」
「あっ、はい。貴方は参拝客でしょうか?」
「そうそう。ほら、近くで成人式やっててさ。帰りに寄ってみたんだよ」
 成人式、その言葉を聞いた彼女はなぜか少し嬉しそうにしていた。
「そうなんですか、じゃあもう大人ですね! いいなあ、私はあと6年先だから」
 6歳差という予想は合っていたようで、つまり計算すると彼女は14歳。
「特に願いはないんだけど、初詣も兼ねてね」
「じゃあ、お祝いしましょう! この神社、ちょっと変わったことをやってるんですよ」
「お祝い? いや、いいよ。突然やってきたのにそこまでしてもらうのも悪いしさ」
 彼女はちょっと変わっているのかもしれない。あどけない顔立ちをしながら、見ず知らずの男性相手に積極的な様子を見せる少女に対し、俺はもうたじたじになっていた。
「遠慮しなくていいですから。ほら、寒いですし中に入りましょう!」
 だが、神秘的な美少女に手を引かれるのは悪い気もせず。俺はつい彼女に案内されるがままに神社の中へと入ってしまった。
 それが、一生忘れることができない経験に繋がるなど考えもせずに。

 神社の内部。そこはイメージしていた通りの和室で、辺りは畳が敷き詰められていた。
 障子からは隙間風が吹いており、少し寒いが、俺と巫女服の彼女はその中で向かい合っていた。
「それで、お祝いっていうのはいったいなんなんだ?」
「それはですね……こうですよ!」
「!?!?」
 少し胡散臭そうな視線を向ける俺に対し、彼女は突然唇を奪ってきた。まさか、ここまで大胆だったとは!
 だが、奪ったのは唇だけではないようで。次の瞬間には大きな異変が発生する。
「一体、なにを!?」
 俺の肩ほどもない背丈だった少女の顔は、俺と同じ目線まで高く、それどころか俺が彼女の顔を見上げなければならないほどに逆転していた。
「これから行うお祝いのために、貴方を小さくしたんです♪」
 楽しそうに笑顔を見せる巫女少女。
 一方俺はまたたく間に小さくなっていき、その目線は巫女服の帯、真紅の袴……ついには足の指先と同じ高さになっても止まらず。
 最終的には足の指。足袋で覆われたその腹すらも見上げねばならない程に小さくなっていた。
 見上げると俺の視界に移るのは少女の巨大な足。そして、その根本の見てはならない領域。不思議な力が他にも働いているのだろうか。本来なら光源が差し込まない袴の内側の様子は俺の目で伺うことができた。
「俺を……どうするんだ」
 ここに来てようやく焦りを見せる。
「えへへ、貴方にはですね。これからお酒を呑んでもらいます」
「お酒? まさか、お酒の海に溺れろとでも言うのか」
 小さくすることのメリットといえば、僅かな食べ物や飲み物でも満足できることだろう。
「いいえ、違いますよ……いえ、ある意味では合っていますが」
 疑問を重ね続ける俺をよそに、少女はとんでもないことをはじめた。
 帯紐を解き、真紅の袴は足元へと脱ぎ捨てられた。秘すべき領域を俺の眼前に晒したのだ。
 巫女服の下に、下着は履いていなかったのだろう。陰毛が生え揃いはじめたその股ぐらは、俺の頭上に堂々と広げられていた。
「な、なにをしているんだ!」
「恥ずかしいですけれど、貴方にはこれから私の中に入ってもらいます」
「な、なか!?」
「膀胱、っていうんでしたっけ。おしっこを溜め込むところがありますよね」
「ま、まさか……その中に入れとでもいうのか!」
 とんでもない事態になってきた。まさか年端も行かぬ少女の膀胱。その中でおしっこの海に溺れるのか俺は。
「はい。ですが、安心してください。私の膀胱に溜まっているのはおしっこじゃありませんから」
「膀胱なのに、おしっこじゃない?」
「私達の一族は、膀胱内の特別な酵素を使ってお酒を作っているんです。貴方には、私特性のお酒を呑んでもらいたいんです」
「膀胱の、お酒?」
「口噛み酒ってありますよね。それの膀胱版だと思ってください」
「で、でも膀胱いっぱいのお酒だなんて、今の俺の大きさだとアル中だぞ」
 逃げることはできない。そう悟った俺は、非現実的極まるこの状況にどんどん流されていった。
「大丈夫ですよ。膀胱酒はどんなにお酒に弱い人でも潰れないほどですから」
「わ、わかった。その膀胱酒とやらは呑もう。でも、どうして膀胱の中で呑まないといけないんだ?」
「それは、歳が近い異性を自分の膀胱に入れて膀胱酒を呑んでもらうことが私達一族の成人の儀式だからです」
「なるほど、君にも事情はあったんだな」
 正直、何一つ信じられない状況だが。だが、少なくとも彼女に人間を縮める謎の力があることは事実だ。
 悪い人間ではないだろうし、協力してやることくらいはやぶさかでもない。

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