気が付いたら一寸法師になっていた件について 後編

 程なくすると、召喚主の少女は愛液の入ったコップを持って部屋を出て行った。
 今度は俺は着いていかない。今は目の前の少女に用がある。

「……ごめん、あれだけ言っておいて俺、君に射精してしまった」

 あまりの申し訳のなさに彼女の顔を見上げられなかった。

「アイリス」

「え?」

 一瞬、何を言っているのか分からなかった。

「私の名前です。君、じゃなくてアイリスです。それに、酷いことだったらきっと、私の方がしていました。中の様子はわかりませんけど、貴方を見ていると相当な事があったように思います」

 赦して……くれるというのか。彼女、いや、アイリスは。

「貴方のお名前を教えて下さい。まだ、聞いてませんでしたから」

 そういえば、そうだった。

「ああ、すまない。俺の名前は京介、橘京介だ」

「タチバナ、さんですか?変わった名前ですね」

 アイリス、何か勘違いしていそうだな。

「すまん、俺の故郷では苗字、ファミリーネームが先に来るんだ。つまりこの世界風に言えばキョウスケ・タチバナってところだな。キョウスケって呼んでくれ」

「わかりました、キョウスケさん。ところで、ファミリーネームがあるとはまさか貴族の家の方なのでしょうか」

 ……お互いの事情を確認したほうがよさそうだな。

「なるほど、貴方は元々ニホンという国にいて、しかしグレイスの手によってこの世界に召喚されたのですね」

 グレイスとは、俺を召喚し、アイリスを辱めた金髪の少女のことである。

「そうだ。だが、俺が驚いたのは君たちの事だな」

「やはり、魔法の事でしょうか」

「それもだが違うな。俺が驚いたのはアイリスの身長が150cmで、グレイスも精々160cm程度だって事だ。てっきり何mもあるのかと思っていたよ」

「貴方は……契約で縮められたのでしたね」

「そうだ。縮められるったって小さくとも140までだと思ってたんだがな。……ちなみに、今どれくらいか分かるか?」

 そう聞くと、アイリスが縛られながらも精一杯身を屈め、顔を近づける。集中した彼女の息が顔にかかり、何だかドキドキする。

「3cmくらい……でしょうか」

「3cm、まるで一寸法師だな」

「一寸法師っていうのは……」

 まあ、アイリスは知らないよな。

「一寸法師っていうのはな身体が一寸、昔の日本の長さの単位で約3cmしかなかった人の話だ。一寸法師はある日武士、昔の戦士階級として大きな家の娘さんを守るために鬼っていう怪物に挑んだんだ」

「そのような身体で勝ち目などあったのですか?」

「確かに鬼は強大で、対して一寸法師は小柄なんてもんじゃない。だから彼は力ではなく頭を使ったんだ」

「頭、ですか」

「そう、頭だ。話は少し変わるが、生物の身体で皆共通して弱いところってどこだと思う?」

 アイリスは突然の質問に戸惑い、しばし考えた後答えた。

「えっ、あ。もしかして身体の中ですか?」

「そう、一寸法師は身体の小ささを活かして鬼の体内に潜り込み、中から針で攻撃したんだ。痛みに耐えかねた鬼は一寸法師を吐き出して逃げ出した。その後、一寸法師は鬼が落とした打ち出の小槌っていう魔法の道具を使って身体を大きくし、めでたく娘さんと結ばれたんだ」

「そんな話があったんですか、不思議ですね」

「そうだね、本当に不思議だ」

 更に不思議な事に彼女、アイリスは本当は家名を持つような家柄だったが、グレイスに嵌められて彼女の奴隷同然の状態になってしまったらしい。

「ところでさ、魔法の力で契約を破ったりはできないかな」

「すみません、本来の力ならできなくはないのですが、力の大半をグレイスに奪われてしまって……」

「そうか。ちなみに、グレイスを何とかして奴の支配から抜け出せればいけるかな」

「それなら大丈夫だと思いますがどうやって……まさか!」

 どうやら気付いたようだ。

「名付けて一寸法師作戦、だよ」

「でも、具体的にどうするのですか? ただ痛みを与えるだけでは意味がないと思うのですが」

 別に、肉体的なダメージだけがグレイスを追い詰める全てではない。

「確かにグレイスの支配から抜け出すのに身体的苦痛はあまり意味がない。でも、社会的なダメージならどうかな。彼女の家、きっと結構な家柄だろう?」

「確かにそうですが」

「彼女のに大恥をかかせればあいつは俺たちに構う余裕はなくなる。奴が焦っている間に逃げ出すんだ」

「なるほど、それは良い案だと思います。しかし、どうやって恥をかかせるのですか?」

「アイリス、今の状態で俺とグレイスの視覚を繋げる魔法は使えるかい」

「それくらいならできますけれど」

「なら良い。今夜から作戦を決行する。その時にその魔法を俺とグレイスにかけてくれ」

「わかりました。しかし、結局何をするつもりなのですか?」

「……汚いことだね。それも相当な」

「すみません、全く分かりません」

「とにかく、グレイスが寝始めたら作戦を始める。そうしたら俺は暫くいなくなるから奴に聞かれた時には逃げ出したとでも言っといてくれ」

 そして夜、グレイスは寝静まり遂に作戦開始の時を迎えた。

「《シェアサイト》」

 アイリスは小声で俺とグレイスに魔法をかける。この魔法はかけられた二人の視界を共有させる魔法である。

「よし、じゃあ行ってくる」

「くれぐれも気をつけて下さいね」

 俺はこの身体の高いジャンプ力を使い、グレイスの眠るベッドへ飛び乗り、そして、金髪の髪を掻き分けつつ彼女の顔によじ登る。
 彼女の口に近づく。その唇は憎らしいほどに妖艶であった。だが、それに何かを覚えることもなく、身長3cmの俺はその唇から彼女の体内に進入する。

 先程までは月明かりでぼんやりと視界が効いていたが、ここからは完全な暗闇である。手持ちのスマートフォン(契約のおまけでこちらも頑丈になっていた)のライトを使えば体内でも明るくなるが変なタイミングで目を覚まされても困る。今はまっすぐ進み食道を目指そう。
 柔らかい舌の床を踏みしめながら俺は前へと進み、胃へと落下した。

 俺は食道の蠕動運動により、胃へ向かって流されるが、そんな俺の耳に小さな呻き声が聴こえた。

「ん、うう」

 アイリスに《シェアサイト》と一緒にかけてもらった《イーヴスドロッピング》(対象の聴覚を盗聴する魔法である)の影響で、グレイスの呻き声が聴こえたのだ。
 まずい、ここで起きられたら面倒になる。

「ううん」

 しかし彼女が起きる様子はなく、俺は噴門を抜けてグレイスの胃へと落下した。
 辺りには蒸し暑く、文字どおりゲロのような悪臭が密集している。また、俺の身体は胃液の海に浸かり、彼女が夕飯に食べたであろう食べ物の残骸が、胃液の海を漂い俺にぶつかってくる。
 俺は契約のおかげで悪臭も強い酸も平気だが、やはり不快な気分である。
 ここでスマホのライトでも使い、視界共有でグレイスにおぞましい光景を見せてやりたいが、ここで吐き出されたらおしまいだ。素直に幽門が開くのを待とう。

 ……しまった! あまりに暇で、暗い空間だからといって寝てしまっていた。
 そう焦っていると、突如として大きな振動に襲われた。胃の蠕動運動により、俺は内包物と共にシェイクされ、思わず胃液を飲み込む。苦い、そして酸っぱい。当然だがゲロの味であった。
 最後には遂に幽門が開いたのか、俺は夕飯の残骸共に十二指腸へと流された。

 俺が小腸の辺りへと流された頃、グレイスの目が覚めたようで、外の景色が伝わってくる。ここでスマホのライトを使ってもいいのだが、小腸の光景を見せてもあまり効果はないだろう。狙うならやはり大腸、つまりグレイス本人のウンコを見せつけてやろう。

 外からは話し声が聞こえる。

「お父様、今日は市場の視察に行ってこようと思いますの」

「そうか、民衆の暮らしを見るのもいい経験だ。勉強して来なさい」

 どうやらグレイスは市場、つまり大勢の人前に出るようだ。恥をかかせるのにうってつけである。

 グレイスは館を出て、市場へと向かう。俺は出来るだけ彼女の足取りを覚えておく。なにせ彼女の体から脱出した後は急いでアイリスと合流しなければならないからな。
 注意してグレイスの視界を記憶していると市場にたどり着いたようで、グレイスは野菜売りの男性と世間話を始める。周囲には買い物客や販売員が多数いる。
 チャンスだ、ここで精一杯暴れて彼女の腹の調子を崩そう。俺は思い切り小腸の壁に体当たりや蹴りをかました。

「う、うう!」

「どうなさいました、グレイス様。お身体の調子を崩されましたか?」

「い、いえ。大丈夫ですわ」

 気丈を装うが、そのプライドが命取りである。俺は彼女への攻撃を続ける。

「ぐ、うう! うううん!」

「本当に大丈夫ですか? 今すぐ館へ戻られた方がよろしいのでは」

「いえ!! 私には民衆の暮らしを見るという使命が!」

 強情であるが、それこそこちらの思うツボである。小腸への攻撃は更に勢いを強める。

「ぬ、ううん! ふううん!!」

「今日はお戻りになられなさい。顔が青ざめていますよ!?」

「そ、そういたしますわ。それでは、ごきげんよう!」

 グレイスは立ち去ろうとする。ところでこのタイミングで小腸の様子を見せたらどうなるだろうか。不快さは薄くとも、突然奇妙なものを見せられれば驚くのではないだろうか。
 思いつき、俺はスマホのライトを点灯させた。辺りにはひだで覆い尽くされたピンクの肉壁、すなわち小腸の内部がはっきりと広がる。そしてこれはグレイスの目にも共有される。

「ひっ!」

「どうなさいました、グレイス様!」

 突然の奇妙な光景に案の定グレイスは驚いた。そして……

 ミチミチミチ、ボドッ! ドボドボドボ! ボドン!

「あ、ああ、ああああああ!!」

「大変だ、グレイス様が粗相をなされましたぞ!」

 グレイスの視点からでは見えないが、この様子では俺の作戦の第一段階は成功したのだろう。今彼女の足下には茶色い物体、つまり彼女のウンコが転がっている筈だ(趣味なのか、今まで彼女がパンツを履いていた様子はない)。
 これでグレイスに対する民衆からの評価はがた落ちだ。

 グレイスが顔に火を灯して館へ帰ると、あまりに恥ずかしかったのか一言も話す事もなく、夕食を食べるとさっさと寝てしまったようだ。

 そして次の朝、俺の体は昨日の内にグレイスの肛門手前まで迫る。市場での脱糞作戦の狙い通り俺と肛門を遮るものはない。
 代わりに俺の背後には茶色い巨大な汚物、すなわちがグレイスのウンコが集まり俺を肛門に押し付け、悪臭が襲いかかる。ここからは文字どおり持久戦だ。大事な場面で恥を掻かせる為に、彼女の排泄行為を妨害する為俺は精一杯肛門を内側から閉じる。

 一日目、特になし。この程度なら余裕なのか、昨日の痴態を除き彼女は平気だったようだ。
 二日目、俺の背に重なる汚物の重みが増すが、封じ込めに成功。俺の、身長に見合わぬ身体能力の高さのおかげでウンコを堰き止めるだけなら幾らでも余裕そうだ。
 この日、先日の粗相がグレイスの父に伝わり彼女はこっぴどく叱られていた。
 三日目、ウンコは更に積み重なる。しかし、俺は平気だ。
 グレイスは流石に便秘を不思議がっていたが、こちらもまだ余裕がある。
 五日目、グレイスは便秘に焦りだす。いつまた人前でやらかさないか不安なのだろう。
 トイレに行く回数も増えたが、ウンコが出ることは絶対にない。俺が肛門を押さえているから当然である。
 三週間目。

「今日は我が家で社交界だ、先日のようなことは絶対にないようにな」

 遂にチャンスはやってきた。どうやらグレイスの暮らす館で社交界が行われるようだ。社交界の最中でグレイスに脱糞させれば彼女の社会的な生命は絶たれるだろう。そうすれば俺とアイリスは自由の身だ。

「あの、お父様、私は欠席したいのですがよろしいでしょうか」

 グレイスは乗り気ではない。彼女はあれから便秘で常に腹を痛めていたし、社交界での粗相を恐れているというのもあるのだろう。

「何を言っている。この社交界は一月前から決まっていたのだぞ。それにこれはお前の結婚相手を決める為でもある、欠席は許されん」

「そんな……」

 その一言を最後に彼女はトイレに篭り、社交界までになんとか便を出そうとした。しかし、大便は俺が押さえている以上出てこないし、小便でさえストレスからか出てこなかったようだ。
 そして、社交界の時は訪れる。

「グレイス、早く行くぞ」

「そんな、もう少し待ってください」

「駄目だ、主催者として遅刻は許されん。早く出てきなさい」

 グレイスは館のホールにて行われる社交界に参加する。それは華やかな舞台だったが、嫁ぎ先の候補たる貴族の青年に話しかけられるグレイスはしどろもどろな受け答えしかできなかった。

「グレイス、もっと積極的になりなさい。ほら、あそこの方に踊りの誘いをしてきなさい」

「は、はい。分かりました」

 受け身な態度のグレイスに痺れを切らした父親は彼女へダンスの誘いをするよう告げる。

「そこの貴方、私とダンスはいかがでしょうか」

「グレイス嬢、貴女と踊れるとは光栄です」

 そして、グレイスは青年の動きに合わせて踊りだす。よし、今だ!!
 俺は彼女の肛門を思い切りこじ開ける。しかし固い。社交界が始まってから彼女は火事場の馬鹿力で必死で肛門を閉じている。また、ウンコが本当に便秘の硬さになっていたのもあって中々開かない。
 せめて、肛門の力を抜く為に搦め手を使おう。俺は背後の茶色いものに目を向け、スマホのライトを当てた(契約による頑丈さとは、スマホの充電にも適用されるようだ)。
 今度は小腸とは違い本物のグロ画像である。それにしても、彼女の召喚魔法による契約が彼女自身をここまで追い詰めているのだから皮肉である。

「き、きゃあああああ!!」

 突然視界に巨大なウンコ(彼女自身のものだが)が映り、グレイスは悲鳴を上げる。括約筋が緩んだ今がチャンスである。力一杯肛門をこじ開けよう!
 すんなりと肛門は開き、俺は悪臭が篭る大腸から三週間ぶりに外界へと飛び出す。当然、俺の背後にあった彼女のウンコと共に。

 ボッドン! ミリミリミリ、ズドン、ドン、ドン! ブリ、ブリブリ、ボドドドド! ボドン、ボドン、ボドン! ボヒュ! ヒュー、ブホオオオ!

「そんな、どうしてこんな時に!? 今まで全く出なかったのに!」

 グレイスは遂に泣き出し、その場にうずくまり、彼女のウンコの周りにはドレスのカーテンが引かれる。
 俺は積み重なったウンコから這い出る為にも必死でもがく。身体を動かすとグレイスの身体から降ってきたウンコが口に入るが気にしていられない。何も考えずに吐き出し先を急ぐ。
 ウンコから顔を出すことに成功した俺は久しぶりの外の空気を深呼吸で取り入れるが、そこでハプニングが起きた。

 チョロロロロ、ジョー、ジャワワワワー!! ジョワー! ジャー!

 グレイスのウンコの山から這い出た俺に突如として黄金の滝が降り注いだのだ。
 ショックで泣き出した彼女の心とは裏腹に、彼女の身体は三週間のストレスから解き放たれた解放感から緊張の糸が切れ、膀胱に溜まっていた大量のおしっこが一気に流れ出したようだ。
 突然のおしっこを思わず飲み込んでしまったが、俺は急いで社交界を抜け出す。混乱が収まる前にアイリスの下へ向かい、二人で逃げ出さなければ!

 走ってグレイスの部屋へと辿り着く事に成功した。ホールからグレイスの部屋まではさほど離れていなかった。
 だが、アイリスの具合もあまり良くはなかった。グレイスは便秘で余裕がなく、最低限の世話もしなかったのだろう。紐で縛りきりだったアイリスの周りには、自分でトイレに行くこともできなかった彼女の糞尿が垂れ流しになっており、愛らしい彼女の顔もやつれていた。

「キョウスケさん、どうしたのですか、その身体は!? 凄いことになっていますよ」

 グレイスの糞便に塗れた俺を見てアイリスは驚く。詳しく説明をしてもいいのだが、アイリスを縛る紐を解くにはどうしても時間がかかる。

「汚くてごめんね、今は急いでアイリスの紐を解くから!」

「そんな! 私に構わず一人で逃げてください! こんな私に近寄っては、もっと汚れてしまいます!」

 確かにアイリスの下へ行くには彼女の糞尿が邪魔をする。しかし俺は躊躇わない。この身は既に汚れているし、彼女にここまでの屈辱を与えた責任の一端は俺にある。
 第一、どうやら俺はアイリスに一目惚れしてしまった様だ。大好きな彼女のものであれば例え糞尿でも乗り越えるのは苦にならない。

 俺はアイリスのかぼちゃパンツから滲み出た、俺の膝まで浸かる小便の湖を掻き分けて進む。湖の上にはパンツから溢れた彼女の巨大な大便を乗り越えアイリスの足下へ辿り着いた。
 正座の姿勢をする彼女の足裏から背中を登り彼女を縛る紐の上に立つと、目の前の紐を束になっていない部分から一本ずつ引きちぎる。
 そして、ようやくアイリスは解放された。

「よし、早く逃げよう! 一度逃げ出せばグレイスはもう手を出せないだろう」

「は、ハイ! 少し離れたの森の中に私の家の元別荘があります。そこに行きましょう!」

 それから俺たちは出来るだけ人目を避けて必死に走った。そして、遂にアイリスの別荘地へ辿り着く。

「ここまでくれば安心、ですよね」

「ああ、流石にもう手を出す体力なんて無い筈だ」

「では、今度は貴方の番ですね。今すぐは無理ですが、数日もすれば契約解除の魔法が使えます」

 そして数日後、俺はアイリスの手によって、召喚魔法による契約を解除した。しかし、解除されたのは身長が3cmになる部分のみ、そもそもそれは契約に発生したバグの様なもので、本来の契約で失われる身長は40cmだった。
 つまり今は身長180cmの身体に頑丈な肉体を持ったわけである。
 それはいいのだが、彼女の契約解除魔法には大きな欠点があった。

「すみません、まだ未熟な私の腕では完全な契約解除はできませんでした」

 一日に一度、彼女の契約解除魔法を受けなければまた元の3cmの身体に戻ってしまうのだ。しかも、その魔法の手続きが特殊で……

「まあ、仕方ないね。それよりもアイリスのほうが大丈夫? すごく恥ずかしそうだったけど」

「はい、でも平気です。貴方の為ですから」

 アイリスが行う契約解除の魔法、それを受けるには前提として彼女や彼女の血を引く者の新鮮な愛液を飲まなければならなかった。
 その為、彼女は俺の目の前で自らの秘部を弄り、オナニーをしなければならないのだった。時には俺が手伝うこともあったが、やはり負担はかかってしまう。

「キョウスケさんこそ平気なのですか? これではもう二度と元の世界には帰れず、それどころか私からも離れられないというのに」

 正直、アイリスを助け出すと決めた時から一蓮托生だと考えていた。

「ああ、平気だ。俺はアイリス、君を愛している。ずっと一緒に暮らそう」

 それから俺たちは森の中で静かに暮らし、娘たちに恵まれて、街の人からも相談役として慕われていった。

めでたし、めでたし。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です