サイズフェチ小説です。
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空港。多くの飛行機が空へと飛び立つ港。俺は今、空の便で海外へと渡航するためにここにいる。
目的は一つ。故郷にいる父が今まさに危篤で、急いで帰らなければ親の死に目にも会えないかもしれないからだ。
しかし、今の俺には飛行機に乗るためのお金は持ち合わせていない。唯一頼れるものは……とあるツテで手に入れた縮小薬。
俺はこの薬を飲んで身体を縮め、乗客の手荷物に紛れることで飛行機に乗り込むという算段だ。
薬を飲む。縮小薬は錠薬で、水と一緒に飲むことで簡単に取り込むことができた。
あとは目的の便に乗り込む人間の、適当な鞄に入り込むだけだが……。
「最近の空港って便利よね。Wi-fiも充電用コンセントもあるんだから」
「もう、沙知ったら。私たちは最近のものしか知らないじゃない」
ちょうどいいところに、二人組の若い女性がいる。学校の制服を着ている様子から、高校か……あるいは中学生の旅行客だろうか。
高校生というには若干幼さが見えるため、中学の卒業旅行なのかもしれない。
こんな場所に自分たちを狙う外敵はいない。そう油断している彼女たち。沙知と呼ばれたツーサイドアップの少女が床に置いている鞄をターゲットにする。
彼女たちや周りの客に気付かれないように近づく。すると周囲の光景は急速に拡大されていき、またたく間に俺の身体はアリにも等しい体躯となった。俺の身体もちょうどいいタイミングで縮み始めたわけだ。
突然人が一人消えたことに不審がるような客はいない。幸い、彼女たち2人を含めても周囲の客やスタッフはまばらで俺の存在には気づかなかったらしい。
沙知の鞄をよじ登り、わずかに開いているファスナーの隙間から、内部に忍び込む。これで準備完了だ。
「うっ、匂いがすごいな……」
ファスナーの内側は様々な匂いが混ざっており、意識がクラっとする。
女の子らしい香水は普段なら気にならないかもしれないが、アリサイズの俺には強烈な香りだ。
それにこれは……アンモニアの臭い?
縮小薬の効果で俺には若干の暗視が働いているが、流石に薄暗い中では正確な把握を行えない。
「あっ、ごめーん。ちょっとお手洗いに行ってくる」
「沙知ー、ジュース飲みすぎたんじゃないの?」
揺れる大地、否、鞄。
沙知は俺の入った鞄を持ち上げ、どこかへと移動するようだ。“お手洗い”という言葉からトイレだろうか。
揺れる鞄。小走りに刻まれる足音。扉が開く音、鞄は置かれ、様式トイレの蓋は開かれる。
ストン、という軽い音が聞こえた直後のことだ。
ジョワアアア……!
鞄の外から滝のような放水音が聞こえる。沙知の放尿だ。
見知らぬ少女の排泄行為を耳にして、若干心は痛むが今更のことだろう。
「ふう、漏れるかと思っちゃった……いや、ちょっと漏れちゃったかな」
その言葉の後、突然天井に光が差し込む。
鞄のファスナーが開かれ、天の裂け目から巨大な手が伸びてきたのだ。
「交換しなきゃ……」
巨大な手は俺を持ち上げる……いや、違う。正確には俺が立っている白い布を持ち上げたのだ。
「もう来年には高校生なのに、お漏らしの癖治らないなあ……」
白い布は俺を乗せたまま沙知の巨木の如き両足に貫かれ、上空へと運ばれていく。
頭上を見上げると、そこにあったのは逆さにそびえる黒い巨木の密林。そして、その隙間から覗かせるクレバスだ。
俺は、沙知が持ち込んでいた予備のパンツに立っていたのだ!
「!!」
待ってくれ、とは言えない。仮にも俺は密航を企てていた身。ここで正体がバレてはすべてが台無しになる。
そうして、何もできないまま俺は沙知という若い少女の股間に挟まれてしまった。
それからどれだけ時が経っただろうか。
沙知は俺に気づかないまま友人とともに飛行機に乗り込んだようで、今は俺も空の上というわけだ。
最初こそトラブルがあったものの今では当初の目的通り空の上だ。
あとは着陸後に適当なタイミングで沙知のパンツから抜け出せばいいだろう。
「んっ……」
「どうしたの、沙知」
頭上遥か上から小声による会話が聞こえる。
「もしかして、トイレ?」
「だ、大丈夫。今いいところだから」
どうやら沙知はトイレが近い体質なのだろうか。しかし、飛行機備え付けの映画かなにかに夢中で我慢をしているらしい。
俺にお漏らしをかけなければいいのだが……。
揺れる。小刻みな揺れは、飛行機の揺れではない。
沙知が身体を震わせ、パンツが振動をしているのだ。
これはまさか……想像したくないことが、現実に起きようとしているのだろうか。
「んっ、あっ……!」
漏れる沙知の声。そして、漏れるのは声だけではない。
ジョボボボボ……。
俺の眼前に開かれるクレバス。その奥から、黄金の濁流が降り注ぐ!
「ぐあああ! 助け、助けてくれ!!」
塩辛い水が口に含まれる。沙知の膀胱は見事決壊し、その内側に溜め込まれていたおしっこが俺に鉄砲水となって襲いかかった。
助けを求める声は外に伝わらない。矮小な小人の体躯から発せられる声では、誰にも助けは伝わらないのだ。
気がついたら俺は、ビニール袋の中にいた。
アンモニアの臭いと血の臭い、腐った卵の臭いが混ぜ込まれた悪臭ガスの空間は、ここがトイレに備え付けられているゴミ箱だと教えてくれた。
「うう、散々な目にあったぜ……」
それから俺は飛行機から“ゴミ”として運び出された後、適当なタイミングを見計らって元の大きさに戻って家族の元へと駆けつけた。