Skebにてリクエスト頂いた作品です!
今回はSkebのリクエスト作品ということで、どなたでも読むことができます。
リクエストありがとうございました!
Skebのユーザーページはこちらとなります。
https://skeb.jp/@shrinker10pyo
時は明治の世の中。明治政府の唱えた四民平等によって身分の格差が取り払われ、華族・士族以外は等しく平民として扱われるようになった時代。
士農工商は既に過去の制度。街を歩く民は同じ地位であるならば恥じることはない……そのはずだった。
「まさか、縮小病になるなんて……」
江戸幕府の時代に確認されてからずっと続いてきた、治療不能の奇病。患うと身の丈が大きく縮み、下手をすると一分(3ミリメートル)にも満たないこともあると言われる。それが、縮小病というものだ。
今の俺は三寸(9センチメートル)ほど。即座に命を失うほど極端な小ささではないが、些細な衝突でも大事故に繋がり、そもそも日常生活や仕事はまともにできやしない。
台所に立てないから料理はできないし、筆を持てないため書類仕事もできない。
「長男、だったんだけどな」
商家の長男、ゆくゆくは家督を継ぐ立場の人間。それが、今までの俺だった。しかし、今は違う。
「兄さん、書類はまだですか?」
俺に書類を持って来いと命じたのは、妹の皐月。歳は14だが、縮小病で家を継げなくなった俺の代わりに代表となるべく、今から商いの仕事を始めている。
俺はというと……その手伝いだ。
身の丈三寸では普段の仕事はできないし、交渉の場でも舐められすぎて仕事にならない。
一方皐月はまだ幼い少女ながら優秀で、健康だ。
女性であるため舐められることは多少はあるが、社会の女性進出も徐々にだが進んでいる。あるいはこれからの時代、皐月のような女が引っ張っていくこともあるのだろう。
「す、すまん! 今持っていく!!」
こうやって妹の手伝いをする。それ以外はまともにできない。
それが、士農工商が取り払われて平等になったはずの平民の姿だ。小人に人権はない。
夜。皐月は風呂から上がり、俺を自室へ呼んだ。
風呂上がりの彼女の腰まで伸ばした黒髪は、染み込んだ水分によって艶やかに輝いている。
まだ着替えをしておらず、未成熟な肢体を晒していることもあって我が妹ながら目のやり場に困る。
「兄さん、夜中に呼び出してすみません」
「いや、いいんだ。それで、突然どうしたんだ?」
「ちょっと……身体を解してもらいたくて」
「按摩か。任せてくれ」
小人になってからだが、仕事で苦労する妹を少しでも労ろうと、俺は密かに按摩を勉強していた。
小人ゆえに大きな力は込められないが、小人だからこそ身体の細かい部分まで手入れを行えると皐月からはなかなか評判が良かったのだ。
「それじゃあいくぞ」
「はい、お願いします」
皐月は裸のまま、うつ伏せになって床に寝る。俺は彼女の肩から腰まで力を入れて揉んでいく。色白な少女の肌に、ここまで積極的に触りにいくことができるのは小人按摩の役得と言えようか。
しかし、事件は次の箇所で起こった。
「さあ、次は尻だ」
俺は皐月の背中を下っていき、彼女の尻を解すために肛門を目の前にしている。
それからいつも通り、その両尻を押し込む形で解していると、肛門が蠢き出す。
「ううっ!」
突然、前方から皐月の踏ん張るような声が聞こえ、そして目の前から異変と暴風、異臭が流れ込む。
ボフゥ!!
「うわあ!!」
屁だ。俺は、皐月が出した突風のような屁によって、後ろに吹き飛ばされたのだった。
柱に頭を打ち、気を失うことで俺はその日を終えた。
異常が現れたのは、次に目を覚ましてからだった。
元々縮小病によって三寸まで小さくなっていた俺の身体だったが、今では一寸(3センチメートル)まで小さくなったのだ。
「縮小病、加速していますね……」
皐月と俺は悩んでいた。
今までの大きさならば、苦労は大きくても仕事の手伝いや最低限の日常生活はできなくもなかった。
しかし、ここまで小さくなってしまうと、それすらまともにできやしない。
「この大きさでできるのなんて、鬼退治くらいだな」
一寸法師という昔話では、俺のような大きさの小人が鬼を倒して姫を救ったという物語が人気だ。
もっとも今の俺には皮肉でしかないが。
「鬼、ですか……」
皐月は考え込みながら、仕事を始める。
自慢ではないが、我が家は商家としてそれなりの利益を出している。
だから、よそから勉強や出稼ぎのために奉公に来ているものも少なくない。
そのお陰で、俺が小さくなっても家は回っているし、俺自身もなんとか生活はできているのだが……それが仇になるときもあった。
「うーん、尿意が……」
俺は下腹部に尿意を感じ、便所へと向かう。幸い便所の扉はわずかに開けられたままで、俺の身体でも中に入ることはできた。
もっとも便所をまたぐようなことはできず、奈落の底にある肥溜めに向かって立ち小便をすることになるのだが。
「ふう、扉が開いてたのは幸運だったな」
それから便所を出ようとしたとき、悲劇は起こる。
「ふう、漏らさずにすみそうです」
頭上から、皐月の声が聞こえてきた。
可愛らしい顔と身体を持って生まれた妹も人の子だ。当然、排泄行為も行う。
だが、尿意を我慢している人が足元の小人に気づくだろうか。
だから、彼女の足は俺を蹴り上げ、吹き飛ばした。
「がっ!」
吹き飛ばした先は、そう。奈落の底、便所の底。俺や妹、多数の使用人たちが出した糞尿の溜まる不浄の地。
奈落を落下し、糞尿の大地は俺をぐしゃと受け止める。柔らかいのが不幸中の幸いで、身体に怪我はない。
もっとも、鼻が曲がるような臭いはこれまでに感じたことのない不快感で、天井には脅威が待ち受けているのだが……。
「…………」
妹は袴を腰まで引き上げ、便所をまたぐ。その構えから解き放たれるのは、当然彼女の身体に溜め込まれた排泄物。
ジョワアアア……。
頭上をまたぐ双丘の間、黒い縮れ毛が隠す谷の間から、黄金の滝が降り注ぐ。
奈落の内に拡散される尿は不浄の地へまんべんなく飛び散り、俺はその滝を避けることすら叶わず妹のおしっこを大人しく浴びるしかなかった。
「た、助けてくれー!!」
「この声……兄さん!?」
ここでようやく声を上げることができた俺に皐月は気づいてくれたようで、彼女の助けによってなんとか肥溜めからの脱出に成功できた。
更に小ささが加速した日は大変な目にあった。しかし、皐月はいつもと変わらず夜になるといつものように俺を自室に招いて按摩を頼む。
今の俺には按摩しかできることはないが、果たしてそれは一寸の身でもできることなのだろうか。不安はあるが、やるしかない。
部屋に入って、皐月の様子を伺う。しかし、今日の皐月はいつもと構えが違う。
いつもならうつ伏せになって背中を解す形だったのだが、今回は仰向け……つまり、裸の胸や女性器を堂々と晒している。
見ているのは俺しかいないが、どういうことだろうか?
「おい、皐月。そんな姿人に見られたらどうするんだ」
「ふふ、いいんですよ。それに、今回はこっちを兄さんに揉んでもらいたくて」
皐月はそう言うと、自らの胸、そして女性器を手で示した。
小人に人権はない。そういうことを命じられる小人もいるとは聞いたことがあるが、まさか実の妹から頼まれるとは思わなかった。
「……わかった」
俺は妹に命じられるがままにその肉体を按摩する。
まずは肩。ここは正面からということを除けば今まで通りだ。まあ、俺の身体は今までの三分の一しかないのだが。
次は胸。西洋からやってきた女性に比べれば日本人らしい控えめな胸を持つ皐月だが、それも今の俺からしてみれば巨大な丘。
なだらかな丘は見上げなければ頂上を伺うこともできない。
「どうしたんですか? 胸の上から思い切り揉んでください」
躊躇していると、妹が促す。その声に従って這うように胸を登り、頂上へ。
頂上には俺の腰まであるような巨大乳首が反り立っており、皐月がいかに巨大であるか……あるいは俺の矮小さを思い知らされる。
「ええい、いくぞ!」
俺は皐月の乳房の上から思い切り腕を押し込み、ときには飛び跳ねて体重を乗せ、胸に刺激を与えた……いや、与えようとした。
「それだけ、ですか?」
しかし、皐月には不満だったらしく「手本を見せる」と言うと反対側の乳房を自ら揉み始めた。
俺の全力は、彼女の戯れにも満たないという現実を見せつけられた。
「ふう、胸はもういいです。それより、あそこをお願いします」
あそことは、と聞くまでもなく、皐月は腕を股間まで伸ばしている。つまり、あそこだ。
俺は皐月の乳房から滑り降りると、腹の上を駆けて彼女の秘部までたどり着く。
途中、胃袋の音が轟音として聞こえてきたのがどこか不吉だったが、それ以外に問題はない。
「まるで樹海だな……」
皐月の秘部はあまり手入れがされていないのか、黒くねじれた縮れ毛が多数天を貫くように生い茂っていた。
俺は陰毛の森をかき分けて奥を目指すと、そこには縦に避けた巨大な崖があった。ここが、皐月の陰唇だ。
「いいんだな?」
「いいからお願いしてるんですよ。中からでも外からでもいいですが、思い切り刺激してください」
言われたからには仕方がない。今の俺にできることはこれしかないのだから、皐月の陰唇内部へ潜り込んで精一杯暴れるのが最善だ。
だが、皐月の陰唇内部は想像以上に劣悪だった。
風呂に入っても洗浄しきれていないのか、尿の臭いが色濃く残っている。流石に昼に落ちてしまった肥溜めほどではないが、ここも相当にひどい臭いをしている。
しかし、ここまで来たならやるしかあるまい。俺は膣の穴、尿の穴を避けて皐月の陰核前へと躍り出る。
「詳しくはないが、女はここが弱いんだろ?」
そして、思い切り殴る。そして、蹴る。
「うーん、それだけですか?」
しかし、帰ってきた反応は芳しくない。
ならば、と今度は思い切り噛みつく。妹の身体に傷をつけるようなことはしたくなかったが、こちらにも意地があるのだ。
「ああっ、ちょっといいです。もっと強くお願いします」
もっと強く。その命令は聞くことができない。噛むことより強い刺激を与えることは、俺にはできないからだ。
「あれ、さっきので終わり……ですか?」
皐月は残念そうな声で言い……その後、天から巨大な五首龍が伸びてきた。無論、これは龍ではなく皐月の巨大な手だ。
俺はそれにつかまれて攫われる。
「うわっ、なにをするんだ!?」
「特等席で、手本を見せてあげるんですよ」
特等席とはどういうことか。それを問う暇もなく、皐月は俺を陰唇の更に奥。皐月の身体の内側へと潜り込ませた。
膣の中だ。皐月の若いながらも女性的な匂いが濃く、頭がクラクラしてしまう。
しかし、朦朧としている暇すら彼女は与えてくれなかった。
「さあ、いきますよ」
皐月は俺をつまんだ指を思い切り動かし、自らを慰め始める。
女性用の性的な玩具とは、俺のようなものを指すのだろうか。
俺は皐月の膣の中を前後に動かされ、身体の自由も効かないままただひたすらに弄ばれ続ける。
ときには膣壁に擦り付けられながら。ときには肉壁から滲み出る愛液に溺れそうになりながら……そうして意識を取り戻したとき、ようやく解放された。
「うーん……やっぱり大変そうですね」
「誰が、大変な目に……」
皐月は俺を心配しているような口調で話すが、そもそも大変な目に合わせたのは彼女本人だ。
「仕方がありませんね」
そう言うと、皐月は再び俺をつまむ。しかし、今度連れて行った先は秘部ではない。顔の正面だ。
「これ以上兄さんは生きていても大変なだけです」
「それは、どういう意味だ!?」
「兄さんには、私が引導を渡しましょう」
皐月は口を大きく開き、そして俺をその中に放り込んだ。
ここは既に皐月の口の中。後ろを見ると、彼女の大理石のような歯が横並びに連なっている。
「やめろ! 出してくれ!!」
「大丈夫です。家の事業は私がしっかりと引き継ぎますから」
話を聞いてくれない。
皐月が声を発する度に喉の奥から大きな音が響き渡り、口を閉じる度に口内の空間は暗くなる。
しかし、不思議と暗黒に包まれることがないのは縮小病の特性ゆえだろうか。
だが、生物の体内という極限空間をまざまざと見せつけられるのは心臓に悪い。
「最後です。兄さんはちゃんと味わい尽くしますね」
俺が倒れ伏している床が動き出す。神話で語られる大蛇のような舌が、上下左右前後様々な方向にうごめく。
ときには口蓋に押し付けられ、床の柔らかくザラザラした感触と、口蓋の硬い感触に挟まれる。
ときには白く大理石のような歯に押し付けられ、甘噛される。
そして、ときには巨大な舌でくるめられ、分泌される唾液に溺れながら吸いつかれる。
そんな、全身をひたすらに蹂躙される経験に俺は惨めにもどこか興奮を覚えていた。
人間は死ぬ間際、大きな興奮を覚えると聞いた気がするが、これもその一環なのだろうか。
「だ、出してくれ……」
俺は息絶え絶えになりながら懇願する。が、帰ってくる答えは無情なもので。
ぐぅううう!!
それは、空腹知らせる音。
俺は、食べ物としてしか認識されていないという証拠。
その事実に絶望していると、舌は俺を乗せながら奥へと引っ込んでいき、そして……。
ゴクリ。
喉の奥。人間の持つ強力な消化器、胃袋へと叩き落された。
皐月の胃袋の中。そこは真紅の肉壁をひだが覆い尽くしており、グロテスクながらも神秘的な空間となっていた。
ここが食べ物を溶かす消化器官でなければ、あるいはいい経験になったのかもしれない。しかし、どれだけここで経験を積もうとも、ここに入ったものはすべてが終わりを迎える。
今の俺は身の丈一寸。人間の胃袋から出られるはずもない。
「一寸法師……」
昔話で語られる英雄だが、彼だって持ち合わせの針がなければ鬼に溶かされて終わりだっただろう。もっとも、俺を溶かすのは敵対する邪悪な鬼ではなく、愛する妹だというのが皮肉極まりないのだが。
せめてもの抗いとして胃壁に拳を叩きつけるも、皐月が俺を吐き出してくれることはなかった。
胃袋に放り込まれてからすぐには胃液が分泌されることはなかった。俺のような大きさでは、食べ物として認識されていないのだろうか?
しかし、そう油断していると胃袋の上部、噴門からなにかの残骸がここに送り込まれてきた。
茶色い肉塊、白い破片、緑の破片。これらは夕食に食べたすき焼きの残りだろうか。
皐月は俺をより効率的に溶かすべく、夜食を始めたのだ。
食べ物たちの残骸を今度こそ食べ物として認識した胃袋は、胃壁から黄色い液体を染み出してくる。
「痛っ!」
液体……胃液に接触した箇所がヒリヒリとする。皐月は本格的に、俺を食べ物として取り込むつもりらしい。
「だけど、これでいいのかもな……」
商家の長男として生まれ、家督を継ごうにも突然の縮小病で家を妹に譲る。
しかし、妹を手伝うこともまともにできないこの肉体では、生きている意味がない。
「それなら、変なところで勝手に死ぬよりは最後に妹の栄養になれるだけマシか」
やがて全身は胃液によって柔らかくなり、身体の痛みもどこかに消えていく。痛覚すら失われたのだろう。
胃壁も蠕動運動によってぐねぐねと内部の食べ物を揉みほぐす。当然、その食べ物には俺も含まれている。
胃壁に揉みほぐされた俺たちは、消化液で軟化した身体では原形を維持できない。胃液単品では完全に溶かし切ることはできないが、こうやって胃の蠕動運動と合わせることで、食べ物は溶かされるのだと身体で理解した。
そうして肉体が粉々になって、周りの食べ物たちと一体化したとき。ついに俺の意識は消滅してしまった。
翌朝、便所の中で皐月は踏ん張っていた。
下には糞尿が溜まる不浄の地。昨日、兄が落下してしまった場所。
袴が汚れないよう引っ張り、しゃがんで力む。
肛門からは徐々に茶色い大便が頭を覗かせていき、そして千切れては奈落へ降下していく。
昨日もタイミングが悪ければ、このようなうんちを兄に浴びせてしまったのだろうか、などと思いながらも皐月は便所を去っていった。
大便の中には、白い頭蓋骨が残っていたことを知らずに。
それから仕事に戻った皐月は思いを馳せていた。
「兄さん、食べてしまいましたね」
自ら敬愛する兄を捕食し、人生に引導を渡してしまったことを。
しかし、それは兄を思ってのこと。決して兄を嫌ってのことではない。
「子どもができたら、兄さんの名前をつけましょうか」
こうして、思いは引き継がれていく。