Skebにてリクエスト頂いた作品です!
「涼宮ハルヒの憂鬱」シリーズの涼宮ハルヒに小さくされて丸呑みされる、というシチュエーションのリクエストでした。
今回はSkebのリクエスト作品ということで、ファンクラブ会員の方であればどなたでも読むことができます。
リクエストありがとうございました!
Skebのユーザーページはこちらとなります。
https://skeb.jp/@shrinker10pyo
某県、県立北高校。俺はこの高校からいつものように帰宅をしようとしていた。
小さな山の上にあるここから、麓の自宅まで帰るのはいつものことながら若干疲れるのだが、そういう学校を選んだのだから仕方がない。
「さあて、帰るとするか……ん、あいつは」
教室の扉を開け廊下に出ると、右隣の1年5組から俺と同じくして教室を出た少女と出くわす。
学校指定のセーラー服を身に着けた、山吹色のリボンが目立つ少女。涼宮ハルヒ。
日本人らしい黒髪をボブカットにしたその姿は、ザ・美少女といった趣だが、彼女は入学してからあっという間にとある噂が広がったのだ。
涼宮ハルヒは変人である、と。それも、北高一の。
俺は彼女とは異なるクラスのため噂を聞いただけだが、なんでも自己紹介で「人間には興味がないから、宇宙人や未来人、超能力者は来い」と言ってのけたとかなんとか。
既に彼女の周囲には哀れな被害者が何人かいて、彼らはハルヒに振り回されている姿が時々見受けられる。
それどころか、本来無関係なはずだった某研究部すら備品を略奪されたなどという噂も立っている。
そんな彼女と対面したから、俺は思わず顔をしかめた。
「……アンタ、なによ」
そして、そんな俺の感情は彼女にはお見通しだったらしい。
お互い数秒黙った後、こちらの抱いた嫌悪感を見透かしたハルヒは、なぜと問う。
「いや、なんでもない」
事実、なんでもないのだ。ただ、これから帰宅だってのに面倒そうなやつに出会って嫌な気分になっただけだ。
「ふうん。まあ、いいわ」
ハルヒはそう言いながら、俺が着るブレザーのネクタイを引っ張って何処かへと連れて行く。
ネクタイをつかむ速度は速く、まさに格闘ゲームの0フレーム技の如く。手を伸ばしているかさえ気づかなかった俺には回避するすべがなかった。
「お、おい! どこに連れてくんだよ。俺はこれから帰るところだぞ!」
「帰るんだったら、暇ってことよね。じゃあちょっと付き合いなさいよ」
帰宅するなら暇だなんて、どういう理屈だ。帰ってからゲームをしたかったのに、やはり彼女と出会うと面倒なことになる。
ネクタイで首が締まるのを嫌って、結局自ら歩きだした俺は、ハルヒの案内である教室へとやってきた。
そこは、文芸部の部室。文化部部室棟3階にある教室で、本来なら名前のとおり文芸部が使うべきものなのだが……これもハルヒによって略奪されたもののひとつなのだろう。
「ここは?」
「SOS団の部室よ」
聞いたことがある。「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」だったか、ハルヒのよくわからない目的のために集まる被害者たち……ゲフンゲフン、変わり者たちの集会だ。
「なんだ。俺にもそのSOS団に入れって言うのか?」
そんなの願い下げだ。これ以上面倒なことに首を突っ込みたくない。
「なんでアンタなんて入れないといけないのよ」
違うらしい。言い方は不快だが、幸いといったところか。
「ねえ、丸呑みって知ってる?」
「はあ? 蛇の動画でも見たのか?」
「違うわよ。人間が、人間を、丸呑みにするの」
「知らねえよそんなこと! つうか、できるわきゃねえだろ!!」
帰る。そうぶっきらぼうに伝えて部室を出ようとすると、再びネクタイが引っ張られる。
「ぐえっ!」
突然首が絞まり、変な声を出してしまった。
「待ちなさいよ。アンタはつまらない男だけど、“良さそう”なのよね」
そう、よくわからないことを言うとハルヒは鞄から木の棒らしきものを取り出した。
おそらくひのきの棒だろうか。白く、頑丈そうなそれをこちらに向ける。
「この棒ね、不思議な力があるのよ」
「不思議な力だって?」
「気になるでしょ」
へへーん、と自慢げに主張する。が、そんなことよりも早く帰りたい。
「いや、全然」
「気になりなさいよ! まあいいわ。その態度、後悔させてあげるわね」
憤慨し、例の木の棒をこちらに向けてなにかをつぶやく。
「ちちんぷいぷい、小さくなあれ!!」
いや、つぶやきなんて小ささではなかった。呪文のような言葉を叫んでいた。
「なんだよそれ、アニメの真似か?」
そう呆れる俺だが、直後に異変が起こる。突然周囲の景色が拡大されたのだ。
近くにあった棚は天まで伸びるような巨大なものに。
眼の前の机も、板が腰の高さ程度だったのに今ではその裏側を見上げる大きさに。
足元の床は、茶色のタイルが地平線の彼方まで広がる広大な世界に。
そして、ハルヒの姿といえば。俺の肩までだった身長が今やスカートのすそで顔が隠されるほどの巨人になっていた。
「な、なんだこれは!?」
思わず叫んだ俺の頭上から、ハルヒの声が聞こえてくる。
「ようやく思い知ったようね、私の力! 私はこの棒で、あらゆるものを小さくできるのよ」
いや、さっきの話のとおりならそれは棒の力だろ。
「……白か」
声の主を探して上を見上げると目に入った、スカートの中の布。それは白かった。
「それは知らなくていいの! そんなことより、さっきアンタ言ってたわよね」
「なにをだよ」
「人間が人間を丸呑みできるわけがないって」
「あ、ああ。そうだな」
ハルヒの自信満々な言葉に、嫌な予感を覚える。冷や汗が背中を伝う。
「証明してあげるわ。人間は人間を丸呑みできるって」
そう言って、ハルヒはかがみ俺をつまみ上げる。
腰をつまむ両指は、それだけで俺の身長ほどの大きさだ。つまり、今の俺は4cmほどということだろうか。
こいつ……俺を食べる気か!?
「やめろ、やめてくれ!!」
「うるさいわねえ」
抵抗して身体を振り回すが、今の彼女には何の意味もなく。ついに俺を巨人ハルヒの口元まで運ばれてしまった。
正面にはハルヒの巨大な顔。それは俺の視界を完全に支配し、右端から左端まで彼女の顔で埋め尽くされてしまった。
「それじゃ、いただきます」
大きな口を開け、指をその中へ。当然、その指は俺を挟んだままだ。
薄暗い口内に放り込まれる。逃げなければ、そう焦って背後に振り向くも、出入り口である口は既に閉まってしまった。
不思議な力が働いているのか……光の差し込まない口の中でも周囲の光景は見える。いや、見せつけられていると言ったほうが正しいだろう。
左右を見回しても当然出口は他になく、柔らかそうな肉壁が壁を作るのみだ。
床はハルヒの舌が、まるで大蛇のように蠢いていて……そして、唾による湿り気で気持ち悪い。
上を見上げると、肉壁や舌の柔らかい感触とは打って変わって口蓋の硬そうな天井で覆われている。
まさに、生物的な空間と言えるだろうか。
「それじゃあ、私を楽しませてね」
もごもごと、ハルヒが舌を動かす。
赤くぬめった床は上下左右、そして前後へと変幻自在に動き回り、その上に乗せられた俺は振り回されるほかない。
ある時は柔らかい舌と硬い口蓋に挟まれ。
ある時は臼のような歯に押し付けられ。
そして、ある時は舌をロールケーキのように丸めて締め付けられ。
いつ食べられるかわからない恐怖の最中、身体のすべてを支配され、刺激された俺は脳がバグってしまったのだろうか。
自分の意に反し、快楽を覚えてしまう。
「んんっ、うう……」
「あれ、なんか変な味がするわね」
そう言って、ハルヒは今一度口を開ける。本当なら今が脱出のチャンスなのだが、俺には動く体力が残されていなかった。
変な味……射精して出たそれを指で確かめると、ハルヒは気づく。
「えっ、なにこれ。まさかアンタ、私の口の中で出したの!?」
「ち、違……」
抗議をしたかったが、その体力すら残されていない。
「ふうん、へえ……アンタ、そうなんだ」
軽蔑するような声が喉の奥から轟く。
「アンタだけが気持ちよくなるだなんて、許さないわよ」
理不尽な責め立て。そして、指は再び口内に入り、俺をつまむ。
「こ、今度はなにを……」
「アンタ、童貞でしょ? 最期にいいもの見せてあげる」
そう言ってハルヒは、俺をつまんでいない方の手でスカートのふちを広げ、更には中のパンツまでも開けていた。
「ま、まさか……」
下に広がるのは、白いパンツで隠されたヴェールが剥がされた秘部。
「おまんこ、見たことないでしょ。食べる前に、アンタには私を気持ちよくしてもらうわ」
そのまま有無を言わさず俺をパンツの中に突っ込む。
パンツの中は汗の臭い、女性的な匂い、尿の臭いなど様々なものが混ざりあってまさにカオスといったところか。
俺はハルヒの陰毛に絡められながら、目の前に広がる裂け目と対面していた。
「じゃあ、挿れるわね」
指は俺の脚をつまみ、頭から俺を膣に挿入する。今俺はまさに、人間ディルドになってしまったのだ。
前進させられては、膣の壁が身体を包み込み。
外に引っ張られては、膣の束縛から解放される。
それが何度繰り返されただろうか。いつしか、身体は膣の分泌した粘液でドロドロに覆われていた。
「んっ、なかなかじゃない」
こちらはすっかりボロボロだというのに、ハルヒの反応は寂しいものだった。
無論、彼女を悦ばせたところでなんのメリットもないのだが。
パンツは再び口を開け、俺は外へと取り出される。既に、俺の身体は抵抗もできないほど消耗しきっていた。
「うわあ、アンタヤバい臭いね」
これはお前の臭いだろうが、と突っ込む気力すらない。
「でも、すっかりふにゃふにゃだしちょうどいいかもね」
「ちょうど……いい?」
「実はさっきアンタを食べようとした時、うまく飲み込めなかったのよね。でも、これだけ柔らかかったら今度こそ丸呑みできそう」
「や、やめて……くれ。やめて、ください」
忘れていた。眼の前の悪魔は、俺を丸呑みしようとしていたのだった。
最後の懇願をするが、彼女は聞き入れる気もなく。
「いやよ。どうしてここまで来て逃さないといけないのよ」
容赦なく、口の中に再突入させられた。
「う、やっぱ不味いわね。早く飲み込まなきゃ」
それからはあっという間で、今度は俺を弄ぶこともなく早急に飲み下した。
ゴクリという音が一瞬、大きく轟く。
食道は俺を胃袋へと送り込もうと、蠕動運動で下へ下へとゆっくり、しかし確実に運び込む。
時折粘液や唾が俺の身体に付着するが、こちらはもうなにも体力が残されてはいない。
それから暴れることもできずに、噴門をくぐり抜けて胃袋へと落とされた。
こうなると、もう脱出はどうあがいてもできないだろうな……。
今生最後の景色と、周囲を観察する。
そこはハルヒの暴虐なイメージからは予想外にも綺麗な体内だった。
無論、生物の体内である以上グロテスクな空間ではあるのだが、胃壁は健康的な赤色で、多数のひだに覆われている。
そして、今は俺しか胃袋に収まっていないのだろう。胃液はほとんど見られず、胃壁から消化液が出る様子もまだない。
「これなら、チャンスはある……か?」
胃壁を叩けば、ハルヒが吐き出してくれるだろうか?
しかし、仮に刺激を与えたところで……そしてもしも吐き出したところで、あの悪魔は再び俺を飲み込むだけだろう。
それなら、上からの脱出はハナから意味がない。
あるとすれば……。
「下、か?」
上手いこと消化を避け、肛門からの脱出を目指す。
うまくいくかはわからないし、なにより多くの地獄を見ることになってしまうだろう。
しかし、多少でも生き延びるにはそれしか手がない。
「消化が始まっていない今がチャンスだな……急がないと」
口と膣で蹂躙された身体に喝を入れ、再び歩きだす。
目指すは幽門。胃袋から腸へと、消化された食べ物を送り出す出口。
胃の底に溜まっている胃液を避けて幽門にたどり着くと、そこは当然ながら閉まっていた。
「こじ開けられるか……?」
ここからはハルヒの胃袋が持つ筋肉との勝負。
俺が幽門をこじ開けられないなら、あとはもう諦めて消化されるのを待つしかない。
だが、天は俺を見捨てることはなかった。あるいは、もう少し小さければ幽門を開けることはできなかっただろう。
しかし、俺はなんとかハルヒの幽門をこじ開けてその先の十二指腸へと侵入することに成功した。
十二指腸。
胃と小腸を結ぶこの臓器は先程までいた胃袋とはまるで違う空間が広がっていた。
腸壁は絨毛……柔らかい毛によって覆われ、トンネルのような道が奥へ奥へと繋がっている。
ここでもアルカリ性の消化液が分泌されると、授業で習った記憶があるから気をつけて進まないといけないだろう。
十二指腸は25cm。4cmの俺からすると、体感的には42倍ほどの長さだとしてもせいぜいが10m。
そこまで長くはない十二指腸を抜けると小腸へとやってきた。
ここは腸壁の絨毛から食べ物の栄養を吸収する機能を持っており、もしも消化が激しければ俺はここでリタイアしていただろう。
流石に4cmあるものを、あまり消化せずに吸収できるとは思えないからそこは安心できそうだが。
むしろ問題なのは、長さだろうか。
小腸の長さは人間の臓器の中でも最も長い6m。今の俺からすると252mだ。
これが、ただ奥に伸びるだけではなく何度も曲がりくねっていて数字上の長さよりも消耗が激しそうだ。
俺はあれからハルヒの小腸を歩き続けていた。
あるときはまっすぐ歩き、あるときは下に飛び降りて。それを幾度か繰り返し、辿り着いた先は壁だった。
ここは……大腸に繋がる回盲弁だろう。
「ここを抜けるとついに大腸か……」
その先に広がる世界を想像し、げんなりする。予想が正しければ、大腸にはガスや……うんこで想像を絶する臭いが充満していることだろう。
しかし、ここで手をこまねくわけにもいかない。
「ええい、ままよ!」
回盲弁を無理やりこじ開け、大腸に侵入する。
「ぐ、やっぱ酷い臭いだな」
そこに充満していたのは、想像のとおりおならとうんこの臭いを100年熟成させたような悪臭。
小腸と比べると広い空間となっているが、大腸にはそれを補って余りある臭いで満たされていた。
「うんこの残り滓も散らばってるし、出口は近いはずだ……!」
歩く度に大腸の様子は変わっていく。
最初は液体のようだった大便も少しずつ硬さを見せていき、今いる場所……おそらく出口の間際ではすっかり固形便だ。
そして、最後の最後で最大の関門がやってきた。
「こいつ……便秘か!?」
目の前には随分と硬そうな大便が、壁のように道を塞いでいたのだ。
「自然に出すのを待つには……駄目だ、このままの状態が続くなら後ろからやってくる新しい便に潰される」
ならば押して、排泄を促すしかないか。うんこには触りたくなかったが、仕方がない。
「う、おおおお!!」
うんこに接触する嫌悪感を、気合でごまかしながら全力で押し込む。
ぐい、ぐいと全身を使って何度も押し込んでいると、ついに大腸全体に異変が起こった。
ゴゴゴゴゴ、と振動が起きたのだ。
「や、やったか!? 出られるのか!?」
眼の前の大便はなにもしなくとも徐々に遠ざかっていく。
つまり、ハルヒは今排泄をしているのだ。
「俺も、一緒に出ないと!」
排泄をやめないうちに、急いで肛門の出口を目指して走る。
そうしてついに、久しぶりの外の光に包まれた。
……落下先で俺を包み込んだのは、ハルヒのうんこだが。
「ううん、お腹の調子がおかしいわね。さっき食べた男子の仕業かしら?」
下にはハルヒが出したうんこ。上からはハルヒの声。
周囲には白い陶器の壁。水に落ちていない以上、どうやら和式便器の内側にいるらしい。
「でもっ、ふう……便秘が治って良かったわ」
その声とともに、頭上から黄色い滝が降り注ぐ。
俺は、それを思わず飲んでしまった。
久しぶりの外の空気を、思い切り吸い込もうとしたのが仇になったのだ。
しょっぱい尿が俺の頭を思い切り打ち付ける。
「そういえば、あの男子は生きてるのかしら……まさかね」
自分が出した便を確認するように、ハルヒは下を見る。
俺は、上を見ていた。つまり、目が合うわけだ。
「あ」
「あ」
結局、俺はどうにかハルヒの丸呑みをどうにか生き延びることができた。
身体の大きさももとに戻してもらえたが、それから妙にハルヒに因縁をつけられることが多い。
なんでも「丸呑みされた人間は珍しいわ!」とか「私のアソコを見たんだからただじゃ済まさないわ!」とか。
両方ともハルヒの自作自演なのだから俺に言われても困るのだが……。
「今日こそアンタをしっかり消化してやるわ!!」
「か、勘弁してくれー!!」